家族の話 2「頭の割れた花嫁」

妹が結婚した。

妹は2歳離れていて26歳。

妹は男兄弟に挟まれて育った。

気が強い子だった。

結婚おめでとう。

 

妹との思い出が何かあるだろうかと記憶の扉をあけると1つでてきた。
実家の前に、タケオばんじょーの家がある。「ばんじょー」とは方言で大工の意味。敷地は広かった。実家からみると中央奥に住居、右手に作業場、左手に資材置場がある。当時は十数人の大工がいただろう。

資材の量は作業の進行に合わせて大きく変化する。どんどん城のように大きくなったかと思っていると、翌日には平地になっていたりする。高い時には大人の背丈を越え、積まれた木のてっぺんに立てば、ブロックに囲まれたスーパーマリオのようだ。学校にぽつぽつと並ぶアスレチックより、よっぽどこっちの方が冒険心をそそった。
その日も僕は妹とリアルマリオブラザーズをしていた。
感覚で言えば言えば2面くらいだろうか。妹はバランスを崩し頭を下のコンクリートに打ちつけた。普通に立ち上がった。僕が安心したと思ったその時、頭を確認した妹の手には血がついている。突然泣きだした。ちょうど祝日で大工がいない。慌てて家に向かうが親は畑で、いない。大工達もいない。そこで僕は何だか楽しくなって笑った。普段見ることのできないことが面白かったのだろう。今振り返ればひどいし、随分な天邪鬼だった。どうして妹は助かったのだろう。
おめでとう妹よ。

<2010.4.22>

3/20 家族の話 「アルコール好きの人」

先日、東北より父母が上京した。

弟の大学卒業式のためだ。

父母は西武線沿線の叔母宅に泊まるために西武新宿駅近くで4人で飲むこととなった。
うちは父と妹(この日はいない)が酒をほとんど飲まない。
飲んでいるうちに母の祖父の話になった。

母、母の弟、母の父、母の祖父はとてもアルコールが好きだ。
母が当時小学生のある日の授業。
どうやら廊下側が騒がしい。
友人が肩を叩いく。
「ミー(母の呼称)、ミーって」
「何?」
ふりむくと廊下の窓に老人が顔をぶちゅりとつけて中をのぞいているではないか。
ミーは絶望した。祖父である。

ちょくちょく小学校に遊びにきて孫の様子を確認するのが習慣なのだ。
担任が注意すると祖父はこなくなった。
祖父はミーが中学校にあがると活動を再開した。
今度はミーの自転車で校庭をぐるぐる回るようになった。
「おーいミー」
ミーはそれで酒の飲めない男と結婚することにしたのだ。