『牢屋でやせるダイエット』中島らも著・青春出版社

中島らもの独房エッセイ集。
かつて自分で書いた「教養とは、一人で時間を潰すことのできる能力である」という言葉に期せずして、試されることになった中島らもは、作詞をしたり、刑務官に反抗して「フロスト」(風呂ストライキ)を決行したり、「絶対」にやってはいけない規則に反抗してみたり、看護婦を口説いてみたり、人間の存在と自由について瞑想したり、オナニーをしたり、と必死になってひとりで遊ぶ方法を考えて実行する。やはり並みのうつ病患者ではない。
中島らもが圧倒的に魅力的なのは、これは宮崎駿とも通底するところなのだが、救いのないものは書かないという態度だと思う。ときどきむちゃくちゃ恥ずかしいことを平気で書くけれども、思想を否定し、宗教をやかましいと一括し、たとえ、この世で生きることが無であるとしても、「光に賭ける」と言い切る潔さは、読んでいて嬉しい。たった22日の拘置生活でここまで書ける作家はいない。