2009年

6月

17日

『花嫁化鳥』寺山修司著・角川文庫

「私はただの現在に過ぎない」とか、「初恋宗教」とか、寺山修司の文章は、一行で、どきりとして眼が離せなくなるような言葉に満ち満ちている。
それだけでなくて、「馬が速いのは、馬を食う動物の速さが増大したことに対する反応だ」(ウェルズ)とか、ボルヘスの「午後五時に正面を向いていた犬と、午後五時五分過ぎに横を向いていた犬とは、もはや同じ犬ではない」と考えるフネスという男の話など、ボルヘスやウェルズを読むよりも鮮烈な印象をあたえる言葉を見つける、彼は天才だと思う。