2009年

10月

15日

DVD『ミース・ファン・デル・ローエ』

ミース・ファン・デル・ローエのドキュメントを借りる。アメリカのテレビ番組を収録したものなのか。質はよくない。人をほめることの難しさを知らないのか、ただ単に、あまたの建築家が登場して、褒め続けている。こんなバカバカしいことはない。

実際に、ミースは過褒にあたる数少ない建築家のひとりであることは、異論のないところだと思うけれど、フォーカスがミースの建築からミースの人柄にずれていて、みたいものが観られなかった。もっとも、それは、たかだか小一時間にまとめられるような仕事をしていない証左なのかもしれないが、ミースがボクシングのテレビをこよなく愛したとか、葉巻が好きだとか、マティーニを飲めばのむほど口が滑らかになったとか、そういうことに時間を費やすぐらいなら、折角の動画なんだから、ミースの建築の内部をもっと歩き回ってほしかった。

もっとも、シカゴで、タクシーの運転手に「ガラスの動物園」と告げるとミースの建築につれていってくれるというのは、ちょっと面白かった。ミースの構造をそのままみせる剥き出しの建築を、米文学の最高峰、テネシー・ウィリアムズの劇作「ガラスの動物園」と揶揄するのは、アメリカ人のユーモアだろう。ちょっと思いつかない。もしかすると、有名な話なのかもしれないが、しかし、こんな話で観客をバカにするのはやめてほしい。

ミースのサロンに、ミースはいない。ミースがいるのは、ミースの建築だろう。ミースのあとを受けて、イリノイ工科大学の教授に招聘された、レム・コールハースのコメントよし。