『嫉妬の世界史』山内昌之著・新潮新書

『嫉妬の世界史』山内昌之著・新潮新書

この本の魅力を勝手に、一言でいうならば、それは視点の面白さだと思う。

その理由は、日本の社会では、すぐに圭角や感情を表に出す人物は絶対に出世できないから、である。言葉は悪いけれど、茫洋というのか、兎と亀ではないけれども、のらくらしている人が最後に笑っている場合が多い。日本の社会、というかシステムは、嫉妬と非常に密接な関係にある、のである。

日本史が好きな人なら、見逃せないのが石原莞爾と東条英機であり、島津久光と西郷隆盛。近代文学ファンなら見逃せないのが、世俗を超脱した境地に達したと思われがちな森鴎外の妄執。

ギリシアから中国まで、ねたみとそねみが歴史をかえてきたことを網羅している。一読、巻を措く能わず。

非常に爽快な読み応え。