『文学賞メッタ斬り! リターンズ』大森望・豊﨑由美著・パルコ出版

ご存知、暗闇につつまれた文壇村の黒いベールをばっさりと斬りすてた、メッタ斬りシリーズ第二弾。現在は、たしか第四弾まで刊行されていたはず。

 

時評系の読み物は時間が経つにつれて鮮度が落ちてしまいがちなのだが、本書が別格なのは、心胆を寒からしめる実名批評にこそある。カレーは甘口しか食べられないけれども、辛口は大好き。

豊﨑と大森の組み合わせがよく、しかも今回はゲストに前人未到の芥川賞落選六回! の文壇の貴公子・島田雅彦が登場。

豊﨑に、「そもそも多数決から一番遠いところから生まれるのが、文学なんじゃないか」と本屋大賞などの談論から文学の核心について問われ、

「何しろ小説に関しては、ストーリーテリングでしか、みんな才能を評価しないからね。どういうスタイルを選んだとか、どういう企みを秘めているかとかその作家がどれだけ不吉な存在かとか、そういうことはむしろ背景に退いてしまう。(中略)でも、ストーリーテリングっていうのは、普通のテレビ番組などによって培われている感性なんですよ。(中略)その芸を極めると、ハリウッド映画になるわけですね。実に編集が巧みで、観ている間はなかなか楽しいし興奮しますけれども、終わった後、与えられた要素が全部消化されてしまうので、何も残らないわけです。下痢さえしない。」

と本音を開陳している。

ところで、何百冊という本が紹介されているにも関らず、読みたいと思わせる本が一冊もないのはどういうわけだ?