『鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活』H.シュテュンプケ著・日高敏隆・羽田節子訳・平凡社

この本の驚きは、そのまま日高敏隆の驚きでもある。

 

「今ごろになって、哺乳類の新しい目(※モク)が発見されるとは!」

 

という、あとがきに尽きる。

本書は、1941年、日本軍の収容所から脱走した一人の捕虜が漂着したハイアイアイ群島の観察記録にはじまる。ハイアイアイ群島では、鼻で歩く一群の哺乳類=鼻行類が独自の進化を遂げていた。

長く伸びた鼻から細く長い捕獲糸を鼻汁のように、水中にたらして釣りをする小形のハツカネズミ大のハナススリ ハナアルキ。

鼻に骨格がないにもかかわらず、海綿体の充血によって、硬化させた鼻で地面を歩く、多鼻類のホーナタタ。そして、それを捕食する、オニハナアルキ。

象の鼻のように長く伸びた鼻孔にはりついた昆虫を、丸呑みするイカモドキ。

まるで植物の花のように、尾を地面に突き刺し、花に擬態し、口からバターミルクのような甘い香りを流して昆虫を捕食するフシギ ハナモドキ。

トロンボーンの原理で吹奏楽器のような音楽をかなでるナキハナムカデ。

図版が楽しい。

立花隆は、読書は奥付、あとがきが肝要であると書いているが、この本に関して、それは当てはまらない。