2010年

2月

27日

荒川NIGHT

祭旅氏のホームパーティーに参加。表札には、油性マジックで三人の名前が書いてあり、あいかわらずだなー、と思う。当然のごとくに呼び鈴はついていない。たしか、このあたりについていたと思ったのにと手探りで探すもみつからず、古いスタイルでドアをノックすると、ガラガラと引き戸があいて、「あ、あいてます」と「肉骨粉」のSさんとあう。

「肉骨粉」はSさんのつくる鞄のレーベルで、無骨なデザインと新鮮な素材感、色の組み合わせが魅力的。鞄だけでなく、自分の手と足でみつけてきた生地から財布や名刺入れもつくられている由。一点一点を手作りでつくられているので、要望を伝えればそれをデザインに反映させていただける。いつか、この頁でご紹介できたらと存じます。

祭旅の部屋に案内されると、俳優の青木さん、祭旅の落語研究会の後輩のスズケン、が既に麦酒をのんでいる。皆を誘って、ザ・町屋の食堂Kに行くも、見事に貸切パーティ中。椅子がひっくりかえっていて赤い顔をした中年男子が畳の上で盛り上がっている。町屋は十時を過ぎると、あいている店が限られる。珍しく、祭旅が指揮をとって、河岸をかえる。上着を脱いできたせいで、とにかく寒い。歩きなれた商店街の店がかわっていて、大好きな銭湯がなくなれば、廃業した肉屋の軒先のケージに飼われていた犬とかがいなくなっている。

線路をこえて、中華料理屋のNにいく。

通されたのは、奥の座敷で、満漢全席用の大きな回転テーブルつきの大広間を貸切でつかわせてもらう。青木さんとスズケンは、祭旅の芝居の『fractale』で共演した仲で、二人の話が雑談ではなく、掛け合い漫才みたいになって、笑いが止まらなくなる。面白い。

おかみさん一押しのメニュー、「よだれ鶏」を頼むも、不評。

辛い、骨がとりにくいなど、散々で、しかし、みんな箸がとまらない模様。メニューの由来は、よだれがでるほどうまくて辛い鶏料理の由。

スズケンは酒を飲めば飲むほど、陽気で明るく、キャバクラに行こうとする。祭旅が「こんばんは荒川」でも書いているが、スズケンは信用金庫に勤めており、一年で数百万近くをキャバクラにつぎこんでいる。同伴をすれば、ギャラがもらえるシステムのキャバクラで、「来なくていいです」といわれる猛者。

祭旅が、「キャバ女の口説き方 <失敗篇>」を出せるんじゃないのか、というと、スズケンは膝を打って、自費出版でやります! と絶叫する。200万ぐらいでいいですか、と祭旅につめよる姿勢は学ばなければならない。

スズケンの信用金庫の話は、聞けば聞くほど面白くて、まさに『太郎』だな、と思う。

『太郎』は細野不二彦の漫画で、信用金庫とプロボクサーの二束のわらじをはく、影のさした男が主人公。暗くて、狂信的で、あまり爽やかとはいえないが、しかし面白いのである。

スズケンは完全に飲みすぎてグロッキーになり、自身で買って来たボードゲーム「人生ゲーム」にさわることなく朝になり、なぜか水道の温かいほうの水を飲んでいる。

六本木からかけつけてくれたK先生と天才画家・幡野が終電で帰ってきて、朝まで「人生ゲーム」で盛り上がる。一階のキッチンで、夜明けのラーメンをつくっていると、Sさんがおりてきて、業務用のミシンなどをみせてもらう。まさにアトリエで、何でも解体されてしまうのか、何故かベッドのスプリングが三つ、棚の上に積んである。

自分の手で物を作る人の話を聞くのは、『室内』以来で、久々に勉強をした。