『犬の足あと 猫のひげ』武田花著・中公文庫

もしご褒美に(なんの?)誰か好きな作家に一人だけあわせてあげると言われたら、間違いなく「武田花!(敬称略)」と即答できる自信がある。

漫画をアニメ化するときに、誰しも思うのは、どういう絵になるか、ではなくて、当然、どういう声になるのか、ではないか。それを敷衍するならば、武田花はどういう声をしていて、どういう風に笑って怒り、何を語り、何を語らないのだろう。

人間に対する透徹した視線。

武田泰淳にはじまり、武田百合子と読み継いできた文学が、武田花に引き継がれているのが嬉しくて、これは迷惑な見方なんだろうけれど、多分そういう見方すら気にされないに違いない。

武田花は作家ではなく、写真家なのだけれど、読まずにはいられないし、買わずにはいられない。