『図南の翼』小野不由美著・講談社文庫

十二国記第五弾。

舞台は恭国。

先王が倒れて27年経ち、国が荒廃。

ほぼ同じ設定から登場人物が立ち上がり、王の選定を受けるべく登極す。

 

ひねりがきいているのは、主人公が12歳の女の子、珠晶であること。

困難な黄海の旅を通じて、

 

「道っていうのは、平らな地面が続いていることじゃないんだわ。そこを行く人が、飢えたり渇いたりしないような、疲れたら休んだりできるような、そういう、周囲の様子ごと道って言うのよね」

 

など、道行ごとに国に必要なものを体験を通じて学んでいく。

 

また世界の成り立ちについての疑問を、頑丘という流浪の民という視点を通じて、

 

「いったいこの世に本当に王が必要なのか? 王を失えば災異を招くというなら、王なんてものは幽閉してしまえばいいんだ。政など行わせなければいい。そうすれば有益なこともできんかわりに、無益なこともできんだろう」

 

と言わせている。

黄海を行く旅人の鎮護を司る、神・犬狼真君が、実は何百年か経った後の更夜であることがあかされる。