2010年

9月

30日

『「イエスの方舟」論』芹沢俊介著・春秋社

一言でいうと、異端の書。

新宗教の本は数あれど、ここまで「イエスの方舟」に肩入れしている本も珍しい。芹沢は、吉本隆明の弟子で、吉本と同じく、オウム真理教に対しても常に好意的な論調だったため、マスメディアから激しいバッシングを受けていた点で、一貫しているといえる。

「論」としては完全に失敗しているが、「イエスの方舟」の資料としては充分価値がある。気鋭の評論家だけあって、資料を踏破した上で書いているのでエッセンスが凝縮されている。

「イエスの方舟」事件は、家庭には居場所がないと感じていた信者が、千石の活動に共感し、家庭を捨てて共同生活を始めるようになる。信者には、男性や既婚女性も含まれていたが、多くが、若い独身女性で、中に未成年がまざっていたため、若い女性の誘拐、神隠しと騒がれた。

新宗教が雨後の筍のように林立する、現代の狂気を読み解く一冊。