映画「ラブ・アクチュアリー」

巻頭言にひいた言葉は、映画「ラブ・アクチュアリー」の宝石のような台詞。

弟に恋人を寝取られてしまった英国の作家のジェイミーは、次作を執筆するために南仏のコテージに旅立った。そこで出会ったメイドのオーレリアに想いをよせるが彼女はポルトガル語しか話せず、お互い惹かれあいながら気持ちを伝えられずにわかれてしまう。

オーレリアへの想いを抑えきれなくなったジェイミーはポルトガル語教室に通って勉強し、クリスマスに飛行機に乗ってオーレリアにプロポーズをしにいく。オーレリアはあいにくウェイターの仕事中で、支配人の反対をおしきって、ジェイミーが語りかける。

 

「美しいオーレリア

 僕が今晩…

 ここに来た… 目的は…

 結婚を申し込むため

 君を知りもせず

 狂気の沙汰だと思うだろう

 でも 事があまりにも

 明白すぎる場合には――

 それを裏付ける証拠なんか要らない」

 

台詞がたどたどしいのは、覚えたばかりのポルトガル語だからで、そのぎこちなさが想いの強さをより、切実に伝えている。足をとめて、ジェイミーのポルトガル語に耳をすませたオーレリアが何といったかはご自分で確認していただくとして、この返答が英語だというところが心にくい。さすがリチャード・カーティス監督。

地元から上京してきた建築家のMと新宿をあてどもなく歩き、本当にただ坐りたい、という理由だけで新宿武蔵野館をのぞいてから、はや7年。Mは超一流企業に転職し、一児の父になった。毎年、年始に会うたびに、この映画の話をする。いい映画です。