2011年

2月

14日

映画「ハーブ&ドロシー」佐々木芽生監督

アートが美術館のものではないことを証明した二人の夫婦のドキュメンタリー映画。

仕事上がりにニューヨークの町中を歩いて歩いて歩き倒して、アートを見て、買う。これを毎日繰り返した。

30年経って、気がついたら若手アーティストたちは、押しもおされぬ大物芸術家になり、1LDKのアパートに買いためたアート作品は約5千点にのぼっていた。売ればうなるほどの大金を手にすることもできたが、彼らはそうしなかった。彼らは居心地の良いソファを買うよりも、アートと暮すことを選んだ。彼らにとって、アート作品とは、まず圧倒的な美であり、その美は作家個人の成長、人生と密接に関係づけられている。彼らは作家との会話を通じて、その作品をテクストではなく、作家自身から掘り下げ、かつ値切りながら自分たちのコレクションに加え続けていく。

ドキュメンタリー映画としては主人公に肩入れしすぎているようにしか見えないのが残念だけれど、ふつうの夫婦の、けたはずれな情熱にひきずりこまれてしまう。

夫婦の名前を冠して、ヴォーゲル・コレクションと名付けられた現代アートの数々はアメリカ国立美術館でみることができる。たぶん、永久に。