読みましたとも

伊藤 計劃『ハーモニー』

『虐殺器官』と比べると一段落ちるが、中盤の肉体と精神の関係を反転させ、善とは何かに迫っていくところから点火。よくわからないが、データで読むと違った視覚効果が得られる模様。言葉と、物語に対する祈りが込められている。

 

小林恭二『ゼウスガーデン衰亡史』

場末のうらぶれた遊園地が、日本全土をまきこみ、また人類の欲望と快楽の装置へと昇華するという設定が最高に良いが、そこで終了。大風呂敷を広げたままで終わっている。ものすごいもったいない感じがする。天童荒太の初期小説ばりに改版してもらいたし。

 

アンソニー・ホープ『ゼンダ城の虜』

二作が一冊の中にまとめられている。ある国の王様とそっくりな男が陰謀に巻き込まれて奮闘する騎士道小説。三鷹の森で買ってから放置していたが、まあ古典は古典か。もし本人が生きていたら絶対に言いたいのは、あのラストはなんだ! あそこまで書いておきながら、あれはない! 絶対に。

 

トム・ジョーンズ『拳闘士の休日』

これは良かった。最高。ぶっとんでる。初めてブコウスキーを読んだときを思い出した。さらに暗いけれど、突き抜けている。面白かったなー。作中に引用されるショウペンハウエルもよし。小気味よい。短編集だけれど、ひとつの短編の中に、ひとつの人生がぎっしりと詰まっている。長編小説を執筆中らしいが、これだけ凝縮した短編を書く人が長編を書けるのだろうか。

 

11月になってしまった。