地中美術館で日は暮れる

朝、思いついて、あんみつやに倉敷に行ってみようかと提案したら、是非、ということなので、これはもう行くしかないと決行。

雲雀丘から倉敷までは、車で山陽道をぶっとばして、約二時間半程度。

ふと、途中で気が付いて、直島、近いんじゃない? ときくと、そんなに遠くもないということだったので、倉敷で一日ゆっくりプランを変更して、倉敷の民藝館を観たら、そのまま、一路、直島を目指して、宇野港までかっ飛ばすことにした。

倉敷は映画「るろうに剣心」の撮影地らしく、その立札が立っている。

この前に行った大津でも同じ立札が立っていたので、無駄に剣心を追いかけていることになっている。丁度、成人式だったせいで、駐車場は大渋滞だったが、あでやかな着物で着飾った新成人たちが、石畳の古都にあふれていて、絢爛豪華だった。

通りに、現役最古の郵便箱があったので、接写。立札は写真でも読めないが、実際に読んでもほとんど読めない。

大原美術館を観て、古めかしい洋館「エル・グレコ」で昼食というわけにはいかなくなったので、通り沿いのローソンで、パンとおにぎりとアンパンとシュークリームをほおばって、走り続ける。

地中美術館の入場締切時間は、四時。

宇野港を出港する船は一時間に一便しかなく、今が、二時十五分だから、当然二時二十五分の便には間に合わない。

倉敷から宇野港までは約一時間なので、かっ飛ばせば、間に合うはずだ。

三時半出港の便に間に合えば、宇野から直島まで約20分だから、美術館の開館時間にぎりぎり間に合う。

念のため電話で、美術館に多少前後しても大丈夫かを確認してもらい、OKをとると、もんぺ姿のおばあちゃんたちを尻目に山道を爆走する。

ファーマーズマーケットに「いちご」ののぼりがたなびいていたが、断固たる決意で直進。なんとか、十五分前に到着して、船に乗り込む。

港から、船まで直接車で乗りこめるようになっていて、車の長さごとに料金が違っている。

アクアに乗っていったので、3m以上、4m未満の区分で入船チケットを買う。

片道1880円也。車の長さを確認するために、車検証が必要なので、車で行かれる方は、車検証を忘れずに。

人だけだと、180円。生活航路なのか、安い。

デッキの上は、花曇りのせいか、閑散としていて、カメラをもったカップルが出港の瞬間をとらえようと四苦八苦していた。

船内は、シャンデリア風のライティングで、けばけばしい感じがしたが、中央に設置されているテレビは二台とも相撲を映している。相撲には、髪型以外に興味をもてそうになかったので、船内をうろうろする。海を見ている間に、直島に到着する。

ナビで、地中美術館を入力すると、ルートを表示する。およそ六分。

開館時間までは、あと十分。どう考えても余裕。

その心の隙が、道を間違えさせたのか、滋賀ナンバーのボックスワゴンを追いかけて、山中にわけいってしまう。この道ではないということに気付くと、即座にUターンして、いざ地中美術館に。

海沿いを走っていたので、気分が良い。窓を開けたらさぞ気持ちが良かったのだろうが、浮かれていたせいか、窓を開けることを失念。

地中美術館に、無事に到着すると、小さな庭園の小道を歩いて、ゲートにいく。あとで、ガイドブックをみたら、あの小さな庭園がモネの睡蓮をイメージした庭らしいことに気が付く。

残念ながら、季節がら睡蓮はなく、ただの池だったが、枕木の置き方が良かった。

 

地中美術館内は写真撮影が不可のため、お見せできないが、言わずと知れた安藤建築。

その名の通り、地中の美術館らしいが、まったく地中感はない。

圧巻は、クロード・モネの部屋。

五枚の絵をみるためだけにしつらえられた大理石の床に、天井からふりそそぐ自然光。

インパクトが違う。

誰が、どんな絵を描いても、ここで見たら、感動してしまうのではないか。

 

ガンツの球みたいな、ウォルター・デ・マリアは、正面からみると、ニコチャン・マークのようなものが浮かびあがってくるのは、単なる勘違いかもしれない。

ジェームズ・タレルの「オープン・フィールド」は額のなかの世界に入っていくみたいで、現代アートをアミューズできるのが楽しかった。

たった、三人の作品をみせるためだけに作られた美術館。あまりの豪華さに、ため息がもれるも、船の乗船時間と、閉館時間は決まっている。

さっさと退館すると、そのまま埠頭にある、草間彌生のテントウムシのようなかぼちゃと戯れるが、一分で引き揚げて、一路、直島銭湯「I♥湯」に。

全部、思いつきで移動し続けてきたので、当然、タオルはない。

だが、タオルは安かった。

ありがとうございます。

このまま、裏通りにある、しゃらくさいバーや、屋台でのんだくれて、眠ってしまえたら、こんなにアートな気分もない気はするが、泊まる気はない。

同じように、船にのって、宇野港に着くと、岡山名物の「えびめし」を食べて、高速にのる。

「えびめし」は見た目を裏切る味で、あっさりしていて食べやすく、サイドメニューのポトフとサラダの絶大なボリュームと値段の安さに感激してしまった。二度と食べることはないだろうが、はじめての方は、お立ち寄りをおすすめいたします。

龍野西のサービスエリアにある揖保川「トマトラーメン」が気になったが、塩大福をカフェオレで流すと、アクセルを踏んで、午後十一時三十分に帰宅。

思いつきは恐ろしいが、でもいい一日でした。