『我らが影の声』ジョナサン・キャロル著浅羽莢子訳・東京創元社

『炎の眠り』を読むはずが、間違えて本書を読み始めてしまう。

本書はキャロルの長編二作目。

ジョナサン・キャロルは実に不思議な読後感を与える作家で、デビュー作『死者の書』を読んだスティーブン・キングは、「もし『ライ麦畑でつかまえて』をC・S・ルイスが書いていたとしたら、それを読んでいるような感じがします」と書き送ったと訳者は書いている。

だが、本作を読んだら、果たして、これはスタンド・バイ・ミーをC・S・ルイスが書いていると言ったかどうか。

物語の発端は、危険な兄貴が線路を渡っている途中、電車ではなく、電線に触れて感電死してしまうというもの。物語の自体の関連は、線路と死体以外に関係はなさそうだが、なんとなく、途中の感じが似ている気がする。

ただし、キングのホラーと違って、キャロルのダーク・ファンタジーは、怖さの質がまったく違う。キングのホラーは爽快だが、キャロルのダーク・ファンタジーは実に地味なのである。その分、ひたひたと迫ってくる怖さがある。

なんと、死者が普通に現実世界に帰ってくるのだ。それも復讐をしに。

この怖さは本人にしかわからないが、主役が本人だから、実に怖いのである。

間違えて読んでしまったが、夏にはぴったりの一冊です。