2014年

2月

19日

books335『続・吉野弘詩集』

なぜ、「続」を取り上げたかというと、この詩集のなかに、名作「祝婚歌」が収録されているからです。この本を推薦してくださったのは、歩行のロゴ・デザインを手掛けてくださったゴバンの小田島。なぜ、ここで紹介者の名を明かすかというと、本書は私が小田島夫妻の結婚式で朗読した詩集だったからです。 

 
「二人が睦まじくいるためには」


で始まる詩は、詩がもっているパワーと祝福に満ちていて、陽向の道をゆっくり歩いているような暖かさがあります。そう思って、この詩を読みました。ところが、この詩を朗読させていただいたときに、失敗を一つしました。それは詩集を、バッグにいれて持ち帰ろうとしたことです。
 会場にいらしたグラフィック・デザイナーの秋田寛さんが私の様子を見咎めたのか、呼び寄せられました。頭のまわらない私は、てっきり朗読をお褒めいただけるのかとノコノコ近づいていくと、「その本。あげないの?」と一言。  
「あっ」と思ったときには、既に別の登壇者が登場しており、どうしようか、と考えていたら、遅れてやっていらしたグラフィック・デザイナーの古平さんが大きな花束を新郎の小田島さんに差し上げていたので、何食わぬ顔で祝福の列に並び、ギリギリ、プレゼントに間に合いました。 
そのときに「ありがとう」と力強く手を差し出してくれた小田島さんとの硬い握手は今も続いています。 
一冊の、一篇の詩が、人生を祝福し、またその祝福を分かち合うことができる、ということを私は、この詩集で勉強させていただきました。忘れがたい一冊です。