books335『博士の愛した数式』小川洋子著

〈あんみつや〉

 

すばらしくいい話で、本については書くことが見当たらない。

本屋大賞の第一回受賞作だったのだね。

 

数学はほんとうに美しい。中学の数学の先生が、のっけからこの学問の美しさを教えてくださって、算数が大好きだった私はさらにその世界が好きになったのだが、あいにく美と厳しさは裏表であって、先生の鮮やかな数さばきに見とれていたら私の数学の成績は知らぬ間に高度を下げ、以後高校に至るまで低空飛行を続けることに。

そんな私の数学への思いにも似た、暖かく切ないお話です。

 

〈千三屋〉

 

はじめて読んだとき、この小説をニュートン算で頭が真空状態になっていた小学生か、もしくは二次関数を投げだした中学生のときに読んでいたら、確実に人生観が変わっていたと思いました。この数学の、数式の物語は、星座の物語と同じように美しくて、引力のように心がひきつけられます。驚いたのは、仕事先の老人ホームのヘルパーさんのニックネームが「ルート」だったこと。後頭部を検証してみたくなりましたが、なかなかお会いする機会に恵まれません。