books335『時代の風音』堀田善衛、宮崎駿、司馬遼太郎

この本を読んだのは、三回目ですが、読み返すたびに新鮮さが増し、読後感が変わるのが

不思議でなりません。今回、一番心に突き刺さったのは、司馬さんが指摘されている日本の近
代文学について。

少し長いのですが、引用します。


「ヨーロッパのフィクションというのは、大文字にしたほうがわかりやすい。Godが大文
字であるように、ヨーロッパ人はゴッドの時代が終わると、それぞれの作家が神に関係な
くてめえで世界をFictionという大嘘、大文字のフィクションにした。
  一方、日本は明治、大正、昭和初年の文学は私小説が主流ですから、それは神々です
な。『暗夜行路』といっても、神さまの一人が放浪し、漂歴する小文字のgodなんです。
だから、ほんとのフィクションはない。東京の金持ちの息子が、何か父親に対して不満が
あるらしくて、うろうろと庭先か何かでいろいろしちゃうというのが、日本人にとったら
たまらなくいいんですよ(笑)。」
 
日本の近代文学の本質をたった一言、「庭先」と言い表してしまうくだりに感動しまし
た。個人的には、大文字と小文字のくだりをもう少し、詳しく教えていただきたいので
すが、三人のうちの二人はすでに故人。続きは自分で考えます。